はじめに:SFの世界が現実に?
「空飛ぶクルマ」と聞いて、まだ遠い未来の話だと思っていませんか?実は、2026年にはドバイやニューヨークの空を飛び回る計画が、現実のものになろうとしています。
その最前線を走っているのが、米国企業 Joby Aviation(ジョビー・アビエーション / ティッカー:JOBY) です。特に日本の投資家にとって注目すべきは、あのトヨタ自動車が最大級の支援を行っているという点です。
この記事では、米国株投資歴の浅い方でも分かるように、Jobyの現状、競合他社との違い、そして投資する際のリスクについて、2025年12月時点の最新情報をまとめて解説します。
⚠️ 免責事項(Disclaimer) 本記事は、特定の銘柄の購入や売却を推奨するものではありません。企業の財務状況や技術動向に関する情報の提供を目的としています。株式投資、特に新興技術分野への投資は高いリスクを伴います。最終的な投資判断は、必ずご自身の責任において行ってください。
1. Joby Aviationってどんな会社?
Jobyは、「eVTOL(イーブイトール)」と呼ばれる電動垂直離着陸機を開発している企業です。簡単に言えば、「大型ドローンとヘリコプターの良いとこ取りをした乗り物」です。
- 静音性: ヘリコプターより圧倒的に静か。
- 速さ: 最高時速約320km(新幹線並み)。
- ビジネスモデル: 機体を売るのではなく、Uberのように「スマホで呼んで乗る」タクシーサービスを自社で展開予定。
なぜ「トヨタ」が関わっているの?
Jobyはトヨタ自動車から約9億ドル(関連投資含む)規模の出資を受けています。単にお金を出すだけでなく、トヨタのエンジニアが現地に入り、「自動車の大量生産ノウハウ」をJobyに注入しています。これが他社にはないJoby最大の強みです。
2. 最新の業績とニュース(2025年Q3決算より)
投資家としてチェックすべきポイントは「お金は足りているか?」と「開発は順調か?」の2点です。
- 意外な売上発生: まだタクシー営業前ですが、米国防総省向けの契約などで、予想を上回る2,300万ドルの売上を計上しました。
- 豊富な資金力: 開発には莫大なお金がかかりますが、2025年10月の増資やトヨタの支援により、手元資金は潤沢です。倒産リスクは当面低いと言えます。
- ドバイでの成功: 2025年11月、ドバイで実際の飛行試験に成功。2026年の商業運航開始に向け、世界で一番近い位置にいます。
3. ライバル「Archer」とどっちが良い?徹底比較
eVTOL業界にはいくつか競合がいますが、よく比較されるのが Archer Aviation (ACHR) です。どちらに投資すべきか迷う方のために、重要ポイントを比較表にしました。
| 比較項目 | Joby Aviation (JOBY) | Archer Aviation (ACHR) | 初心者向け解説 |
| 主な支援企業 | トヨタ自動車、Delta航空 | ステランティス、United航空 | トヨタの「カイゼン」が入っているJobyの製造力は強み。 |
| ビジネスモデル | 垂直統合型 (製造から運航まで全部自社) | ハイブリッド型 (航空会社への機体販売がメイン) | Jobyは利益を総取りできるが運営責任も重い。Archerは「売り切り」に近い。 |
| 資金力 | ◎ (業界トップ) | ◯ (十分だがJobyより少なめ) | 赤字が続く業界なので、現金の多さは「体力」そのもの。 |
| 認証の進み具合 | ◎ (先行) | ◯ (猛追している) | 国の許可(型式証明)が降りないと営業できません。現状はJobyリード。 |
業界のリーダーとして「王道」を行くなら Joby。
資金力がありトヨタという後ろ盾がある Joby の方が、長期保有の安心感はあると言えます。
少し時価総額が低く、上昇余地(とリスク)を狙いなら Archerになるかと思います。
4. 【チャート分析】今、買い時なの?直近の株価の動きをチェック
Jobyの将来性が有望なのは分かりましたが、投資家として気になるのは「で、今は買い時なの?」という点ですよね。
実際の株価の動き(チャート)を見て、現在の立ち位置を確認してみましょう。以下は直近の日足チャートです。

チャートから読み解くポイント
このチャートから、押さえておくべき重要なポイントがいくつか見えてきます。
1. 激しい値動き(ボラティリティ) まず一目でわかるのが、株価の変動の激しさです。2025年の夏場には一時20ドルを超えて急騰しましたが、その後は何度か大きな調整(下落)を経験しています。この銘柄が、ジェットコースターのような値動きをする特徴があることを理解しておきましょう。
2. 「13ドル付近」が強い「床」になっている チャートを見ると、9月と11月下旬に株価が下落した際、どちらも13ドル付近で下げ止まり、反発していることが分かります。 これは、投資家の間で「13ドルまで下がったら安いから買おう」という心理が働きやすい、強力な**サポートライン(下値支持線)**になっていることを意味します。
3. 現在は反発の局面 直近の動き(チャート右端)を見ると、ちょうどその「13ドルの床」で跳ね返り、陽線(株価が上がって終わった日を示す赤い棒)が続いています。これは、短期的には上昇の勢いが戻りつつあるサインと捉えられます。
結論:エントリーのタイミングとしては悪くない?
テクニカル分析の視点で見ると、現在は**「重要なサポートラインで反発を確認できた直後」**であり、長期的な成長を信じて投資を始める(エントリーする)タイミングとしては、比較的リスクが限定された良いポイントと言えるかもしれません。
ただし、次の目標となる「壁(レジスタンスライン)」は17ドル付近や20ドル付近にあります。ここをスムーズに超えていけるか、あるいは再び跳ね返されるかが今後の注目点です。
逆に、もし今後何らかの悪材料が出て、頼みの綱である13ドルを明確に割り込んでしまった場合は、警戒レベルを引き上げる必要があります。
5. 投資する前に知っておくべき「リスク」
夢のある銘柄ですが、投資にはリスクがつきものです。特に以下の点は理解しておきましょう。
- 株価の変動が激しい:まだ利益が出ていない「成長株」のため、良いニュースで急騰し、悪いニュースで急落します。ジェットコースターのような値動きに耐えられる範囲(資産の数%程度)で投資するのが鉄則です。
- 「認可」が全て:航空機は安全性が第一です。FAA(アメリカ連邦航空局)の審査が長引けば、商業化が2027年以降にずれ込む可能性もあります。その場合、株価は大きく下がる可能性があります。
- 黒字化はまだ先:2026年にサービスが始まっても、すぐに黒字になるわけではありません。しばらくは赤字を出しながら成長するフェーズが続きます。
まとめ:Jobyは「買い」なのか?
2025年12月現在、Jobyは「夢」から「現実」への転換点にいます。
- トヨタとの強力タッグ
- 2026年のドバイ・米国でのデビュー目前
- 業界トップの資金力
これらを考慮すると、長期的な成長を信じる投資家にとっては、非常に魅力的なエントリータイミングと言えるかもしれません。ただし、一発逆転を狙って全財産を入れるような銘柄ではありません。「未来への応援」として、ポートフォリオの一部に組み込んでみてはいかがでしょうか。
